記念切手

東京オリンピック切手、なぜ使用済みにプレミア?

投稿日:   更新日:2018年4月20日

切手の買取価格から伺う時代背景

tokyo2 (引用:日本の記念切手セット「東京オリンピック募金」)

前回の記事では、東京オリンピックの寄付金切手をご紹介しました。
6次完の寄付金付き切手で、5円の額面に5円の募金額が上乗せされる形で発行されました。
実はこの東京オリンピックの寄付金付き切手、未使用の美品状態よりも使用済みの切手の方が高い価格で買取される、珍しい切手なのです。

どうして美品状態よりも使用済みの方が高い買取価格なのかというと、
1950年代後半から1960年にかけて、日本には切手ブームが巻き起こりました。
かの有名なお菓子「グリコ」のおまけに切手がついていた時があり、これを機に小さな子どもまで切手を集めるようになりました。
大人はもちろん小学生までもが切手収集に情熱を注いだ時代だったのです。
この切手ブームは日本だけでなく世界でも同じ傾向があり、世界中で沢山の種類の切手が発行されました。
この頃の切手収集は、もちろん純粋な趣味で集めていた方も多々いますが
今買っておけば後で値上がりするかも、といった投機目的で切手収集を行う方もいました。

この東京オリンピック寄付金切手は、切手ブームの真っ只中、1961年から1964年にかけて発行された切手。
オリンピックという世界的イベントを題材とした切手ですので、収集家はもちろん投機家までが買い求めた切手です。
当日の切手販売所には長蛇の列が出来ました。
投機家の方からすれば、切手を購入すればあとは値上がりするのをただ待つのみ。
せっかく手に入れた大切な切手ですので、誰もが綺麗な状態で厳重に保管しました。
そのため、このオリンピック切手を郵便に使用する方は殆どいませんでした。
なので当時の消印が押された東京オリンピック寄付金切手は、全く目にすることがない状態になってしまったのです。


切手ブーム時代の切手の価値は…


皆が切手を買い求めた時代ですので、東京オリンピック寄付金切手の他にもこの時期に発行された切手は世に出回っており、希少価値が薄いのです。
その為切手ブームの時期に発行された切手はプレミアがつきにくい傾向にあります。
大量に家に余っている切手ブーム時代の切手を買取店に持ち込み現金化する動きが出て
切手収集家の激減によりこちらの需要も減ってしまい、切手買取店に多く余っているような状態となっています。

価値からでも時代背景を伺うことができるので、やはり切手は奥が深いですね。




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