記念切手

切手趣味週間について

投稿日:   更新日:2018年5月15日

mikaeribizin (引用:日本郵便「切手インサイド・ストーリー」)

本日は、プレミア切手も数多く存在する「切手趣味週間」について取り上げたいと思います!

切手趣味週間とは、切手が持つ芸術性や価値などの魅力を広めるために始まった週間。
郵政記念日である4月20日より1週間が切手趣味週間と設定されています。
この郵政記念日とは、今までの飛脚制度が廃止され、代わって郵便制度が始まった日。
明治の4年から今の郵便制度が始まっています。

開始は1947年からですが、これまでは切手の発行以外にはあまり活動が行われていなかったそう。
しかし日本郵趣教会によりキャンペーンが各地で開催されており、発行以外にも意義ある週間となっています。


「月に雁」や「見返り美人」など、多くのプレミア切手も打ち出している切手趣味週間。
写楽の「市川蝦蔵」、喜多川歌麿の「ビードロを吹く娘」なども有名です。
こちらの有名プレミア切手はどれも高値で売買され、買取店でも驚くような値段がつく場合があります。

例えば「見返り美人」などの切手は買取店にもよりますが、
美品の状態であれば20000円程の買取価格がつくようです!
プレミア切手にも明るい切手買取店にて買取してもらうと良いですね。


切手趣味週間シリーズの図案


切手趣味週間の第一回目の発行は、葛飾北斎の「山下白雨」。
世界的にも有名な浮世絵、富嶽三十六景の中の1枚が図案として採用されました。
1955年発行の金島桂華による「画室の客」は、20円の寄付金付き切手として発行されています。
この寄付金は阪神淡路大震災の復興に充てられました。

他にも菱川師宣や伊藤若冲など、数多くの有名画家の絵が採用されている切手趣味週間シリーズ。
ずらりと一式並べることが出来たら、さぞや壮観なんでしょうね!


切手趣味週間「見返り美人」

(引用:日本郵便「切手インサイド・ストーリー」)

こちらの「見返り美人」は昭和23年11月29日発行の記念切手。

「浮世絵の祖」とも言われるほどの有名人、菱川師宣が描いた見返り美人図がデザインされています。 切手に明るくなくても、こちらの元となった「見返り美人図」は見かけたことがある方も多いのでは? その当時、浮世絵を題材とした切手は大変珍しかったようですよ。

こちらの見返り美人、その佇まいの美しさを高く評価され、当時は国内だけでなく海外からも注目された切手だったようです。 発売は67年も前ですが、今でも愛好家の中では大変人気の高いお品です。

この「見返り美人」、実は1996年に復刻版が発売されています。 元祖は単色での印刷だったのですが、復刻版はフルカラーでのプリント。 どちらも甲乙付け難い麗しさですよね。

美しさはもちろんですが、見返り美人にはもう一つ特筆すべき点が。 「見返り美人」は縦が67mm、横が30mmと、なんと切手の中では日本最大サイズ。 同サイズのものは、こちらもプレミア切手の「月に雁」しかありません。

見返り美人の買取価格

見返り美人が発売されていた時は、葉書に貼ると郵送の途中で剥がされてしまうほどに人気だったそう! 価格も落ち着いた現在は、だいたい1万5000円ほどで取引されているようです。


切手趣味週間「月に雁」

mikaeribizin (引用:日本郵便「切手インサイド・ストーリー」)

「月に雁」も切手趣味習慣シリーズの一環として発行された記念切手です。 見返り美人の翌年の1949年に発行されました。

「月に雁」は日本が誇る浮世絵師、歌川広重の作品を図案とした切手。 秋の夜を描いたこちらの作品、眺めているだけで虫の声まで聞こえてくるような気がします。 歌川広重はその卓越した画力で、ゴッホに影響を与えたことでも有名ですよね。

月に雁も当時珍しい大型の切手で、見返り美人の7cm×3cmと同サイズ。 切手の常識から外れるほどのそのスケールは、当時の郵趣家の間では「大きすぎる」との声も聞こえたほどだとか。 型破りなサイズと図案の美しさで、瞬く間に話題となった切手。 こちらの発行部数は150万枚。あっという間に売り切れてしまい、希少価値が付きました。

「月と雁」と前述の「見返り美人」は、ともに山野内孝夫が手掛けた切手です。 山野内孝夫は切手デザイナーとして、数々の名作を残していますよね。

そして山野内孝夫は、ガッター部分に彩色した人物としても知られています。 今では当たり前のように行われているガッターの着色ですが、当時は革新的でした。 山野内孝夫デザインで他に有名なものは、国民体育大会の記念切手や新動植物国宝図案切手などがありますね。 また別記事にて取り上げたいと思います。

見返り美人と月に雁は、同年に復刻版がリリースされています。 当時は両方とも単色印刷でしたが、復刻版はフルカラー。 「見返り美人」と「月に雁」がセットで販売されているのもよく見かけますよね。 プレミア切手と名高いこちらの二枚。 当時は高値で取引されていたようです。 しかし、残念ながら切手の価値は年々下がっているとも言われますから、ご売却をお考えの方は早めに買取してもらった方が良いかも知れません。


切手趣味週間「ビードロを吹く娘」

ビードロ (引用:切手鑑定・買取専門福ちゃん)

こちら「ビードロを吹く娘」は1955年、切手趣味週間が始まって5回目に発行されました。 喜多川歌麿が描いた「ビードロを吹く娘」が図案となっています。

喜多川歌麿は、江戸時代に活躍していた絵師。 美人画の身体の描写を大きく省いた大胆な構図で一世を風靡し、葛飾北斎と並ぶとも言われる著名な浮世絵師です。 女性の表情がよくわかる、「大首絵」といった構図を採用し、浮世絵の黄金期を作ったそう。 まさに「美人画の名手」の名が似合う筆力には感服ですね。

喜多川歌麿などの浮世絵は切手界でも人気が高く、歌川広重などと共にふるさと切手に多く採用されています。 「江戸名所と粋の浮世絵」や「江戸の浮世絵」も喜多川歌麿や歌川広重の浮世絵が図案となっており、コレクター品として人気ですよね。

このビードロの原画のタイトルは「ポッピンを吹く女」とも呼ばれます。 ビードロは別名ポッピンともいい、舶来品で当時の流行でした。 そしてこちらのビードロ、おもちゃではなく正月に一度、厄落としやゲン担ぎの意味を込めて吹くものだという説もあるそう。

喜多川歌麿の画が図案になっている切手は多く存在し、ビードロの他には、「文読む女」や「兵庫屋内花妻」などですかね。 切手趣味週間であれば他には「台所美人」も有名です。 浮世絵の美しさは今も昔も変わらず。 日本の伝統が少しのスペースに余すところなく詰められていますよね。 日本で初めて切手が発行されたのは、明治の4年。 現代は切手という方法でも浮世絵を楽しんでいると知ったら、当時の江戸っ子達は驚くでしょうか。

ビードロを吹く娘の買取価格

こちら「ビードロを吹く娘」、未使用であれば一枚2500円程で買い取って貰えるそう。 使用品では2000円程。 シミやヤケなどがある場合は額が下がってしまうので、保管にも注意が必要ですね。


切手趣味週間「市川海老蔵」

市川海老蔵」 (引用:切手鑑定・買取専門福ちゃん)

1956年11月1日発行のこちら「市川海老蔵」。
「市川蝦蔵」「市川えび蔵」との表記もあります。
発行部数は550万枚。見返り美人や月に雁と比べると多いですね。
こちらは別名「海老蔵にらみ」切手とも呼ばれているよう。
迫力のある図案にこちらまで圧倒されてしまいます。


図柄には東洲斎写楽が描いた「市川蝦蔵」が採用されています。
「ビードロを吹く娘」と並んで非常に人気の出た切手です。


写楽は謎に包まれた浮世絵師で、活躍期間はなんと10か月ほどという短い間でした。
写楽独特の、役者の個性を強調した描き方は当時ではあまり好まれなかったようです。
そのため写楽が注目され始めたのは、大正時代ごろから。ドイツの美術研究家が三大肖像画家と褒め称えたことで名が広まりました。
写楽の謎に包まれた生涯。日本にある写楽の作品は約100点ほどで、生没年さえもわかっていません。

ちなみに今も写楽の絵は海外からも人気が高く、何千万もの値段が付いています!


写楽といえば「大谷鬼次の奴江戸兵衛」が最も有名ですね。
こちらももちろん切手になっています。
他の写楽の絵画で切手の図案になっているのは
「三代坂田半五郎の藤川水右衛門」や
「二代目瀬川富三郎の大岸蔵人妻やどり木」などがあります。


大谷鬼次の奴江戸兵衛 切手 (引用:FUKUSHI Plaza「切手に描かれた人物」)

「市川海老蔵」をはじめ、写楽の絵柄にはどれも強さを感じます。
小さな切手であっても迫力は十分。
筆力があるとは、このことでしょうか。

切手は小さなサイズの中に、いくつもの世界が垣間見えるところが好きですね。


切手趣味週間「まりつき」


mari (引用:wikipedia「切手趣味週間」)

こちらの「まりつき」切手は1957年11月1日の発行。
切手趣味週間の中では7番目の発行で、写楽の「市川蝦蔵」切手の翌年となりますね。
額面は10円で、印刷方式はグラビア凹版。
図柄は鈴木春信の浮世絵である、まりつきが採用されています。

鈴木春信とは江戸時代の中ごろに活躍した浮世絵師。美人画を多く出がけており、錦絵の技術を確立したことでも有名です。

まりつきの買取価格

こちらのまりつき切手、額面以上の価格で買取されるプレミア切手となります。
切手カタログの評価額は未使用・使用済み共に340円で、使用済みであってもそう相場に変化はないようです。
もちろん切手の評価額がそのまま買取価格にはならず、切手の状態・コンディションにも左右される為あくまで参考程度の価格となります。

切手趣味週間「雨中湯帰り」

amagasa (引用:日本郵便「切手インサイド・ストーリー」)

雨中湯帰り、通称「雨傘切手」の発行日は1958年の4月20日。額面は10円となります。
江戸時代に活躍した画家:鳥居清長が描いた浮世絵が図柄となっています。
こちらの「雨中湯帰り」切手、女性が一人のみ描かれた切手となりますが元の浮世絵は、傘を持った女性が実は3人並んでいるものとなっています。
その中の1人のみにデザインを絞り製作された切手で、元の浮世絵の良さを生かしたインパクトある図柄となっています。

雨中湯帰りの買取価格

現在の雨傘切手の相場は、切手カタログによる評価額が未使用で80円、使用済みで50円となっています。
しかし評価額がそのまま切手買取店での買取額になるわけではなく、価格は切手の状態にも左右されますので注意が必要です。
切手趣味週間シリーズの買取は、「まりつき」切手以降は先程述べた、切手の過剰な供給により相場が急激に下がってしまっています。
しかも切手趣味週間シリーズの中でも雨傘切手は発行枚数が非常に多く、プレミアがつきにくいものとなっています。
「雨がさ」切手はオークションでの落札価格も安い傾向にあり、店頭での販売額もそう高くはありません。
当時の切手ブームを知る方にとっては少し寂しい気持ちになるかとは思われますが、切手集めを趣味とする者にとってはありがたい時代かも知れませんね。


切手趣味週間「兎春野に遊ぶ」


kittesyumi (引用:ケネディスタンプクラブ「切手趣味週間 兎春野に遊ぶ 80円20面シート)

こちら”兎春野に遊ぶ”切手は、1999年4月20日に発行された切手。
堂本印象の代表作、「兎春野に遊ぶ」の絵が図案として採用されています。

堂本印象は、京都に生まれた日本画家。画壇の指導者としても活躍し、国内では勿論のこと欧米や世界でも評価の高い画家でした。
昭和38年に、大阪カテドラル聖真理多大聖堂に壁画を描いたことでも有名です。
動植物などの花鳥画を好んで手掛けていたようですが、晩年には抽象画も手掛け、こちらも絶賛されています。

2syurensatu (引用:スタマガネット「99年趣味「兎春野に遊ぶ」 2種連刷」)

80円切手が10枚、または20枚で構成されており、図柄は2種連刷となります。
1シートが10枚で構成された切手は3500万枚、
1シートが20枚で構成された切手は500万枚、合わせて4000万枚シートが発行されました。
印刷方式はグラビア6色の採用で、細かな色調まで鮮やかに表現されています。

兎春野に遊ぶの買取価格

こちらの切手趣味週間「「兎春野に遊ぶ」切手の評価額は、
単片であれば120円、使用済みでは30円までに価値が下がってしまいます。
しかし”日本国際切手展2001”のロゴが入ったガッター状態の切手であれば、未使用・使用済み切手共に500円の評価額がつきます。
ちなみに普通の2種連刷であれば、未使用で250円程の相場のようです。



参考サイト


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